就活時期の変更が与える弊害とチャンス

就活の開始時期が12月から4月に4ヶ月間遅らされるというニュースが世間を騒がせている。

 
この変更は今の学生にとってプラスなのだろうか?マイナスなのだろうか?
 
正直言ってプラスの面が全く思いつかない。
 
マイナスの面について考えると、
明らかな問題が3つあげられる。
 
  • 外資系企業はこの変更を守らない
  • 卒論卒研と時期が重なる
  • 実質的な就活期間は伸びる
 

外資系企業はこの変更を守らない」

外資系企業がこの変更を遵守しない場合従来通りに
3年夏インターン→3年冬就活
の流れで行われる。
 
となると優秀かつ国際思考の強い学生は従来通りの時期から就活を始める事になる。
 
この間、日系企業は学生に直接手だし出来ないので優秀な学生が外に流れるのを見ているしかない。
この構図は、日本プロ野球メジャーリーグの関係と同じである。
独占交渉権をかけたドラフト会議前に有望選手にメジャーからの誘いがかかる。
現時点では、菊池や大谷が高卒メジャーかと話題になりはしたが実現はしていない。
しかしこれは時間の問題であろう。
 
まして野球界のように日本球界復帰への制約があるわけでもない就活戦線においては、こういった動きが増えていく事は安易に予想出来る。
 
こうして日本の有能な人材は外資企業や海外に拠点を移し、言い方は悪いがその残りを日系企業で分け合う形になる。
 
影響を受けるのは優秀な学生のみではない。
就職活動期間が短くなるという事は
=学生を見る時間が減る
という事ではないだろうか?
 
そうなると学歴や資格など目に見える部分で評価せざる負えないという局面は増えるだろう、すると学歴フィルターの存在感はその口ぶりとは裏腹に増大するのではないか?と僕は思う。
 
 

卒論卒研と時期が重なる」

従来は3年の後半〜4年の前半に就職が決まり(うまくいけば)
4年の後半は卒論に有り余る多くの時間を費やす事が出来た。
しかし、この就職時期の変更に伴い卒論や卒研と並行して就職活動をする事になる。
これは、学習の質に大きな影響を与えかねないと思う。とりわけ、理系学生にとって卒業研究で多くのトライアル&エラーを行う事は重要な要素であり、どちらつかずになるという事態も現実味のある話である。
 

「実質的な就活期間は伸びる」

この開始時期を遅らせれば期間自体が短くなるという考え方は、あまりにも素直過ぎるのでは?という事だ。
つまり、日本にサマータイムを導入したら…?って話と同じ事が言えるのである。
つまり、形式的には短くなるが実質的には、
もとの期間+新しい期間
が就活の時期になるという事である。
 
 
これらの問題点を考えると、この変更は学生にとっても企業にとっても痛手としか言えないだろう。
 
 
「唯一この件が良い点をもたらす」
それは今までの基本スタイルがある程度崩れたという事である。
つまり、上手く新しい制度を使いこなせば学生内での序列や企業間での序列をひっくり返す事が出来るのではないだろうか?
 
 
とはいえ、変わってしまうものは仕方ないですね。